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2008年6月20日 (金)

Secret Garden

 柔らかい日差しの下、天井がガラス張りのその屋内プールで泳ぐと、いつもある錯覚に襲われる。それは、プールの隣りに忘れ去られた庭園があるという幻想だ。種を明かしてしまえば、ただ、プールのある吹き抜けの屋内が、隣りのスタジオの全面ガラスに映し出されているだけ。でも、鏡に映る風景は別世界だ。プールの中からは見上げている格好になるので、プール自体は見えず、スチームサウナの入口の明かりと切り取られた空が見える。これが、私の目には、プールのある場所には青々とした芝生や、小便小僧のある噴水があり、スチームサウナの入口は大きなお屋敷の裏口である様に思えるのだ。
 小さい頃、よく、お寺で遊んでいた。そこに、小さな石塔があった。その塔は家のような形をしていて観音開きの扉のような物が四方についていた。友達が、「この扉は、夜になると開くんだって」と言った。「嘘だぁ」私が言うと、「嘘じゃないよ。それで、中に小さな猿がいるんだよ。おじいさんが言っていたもん」と彼女は言った。私は力一杯その扉を引っ張ってみたが、ぴくりとも動かなかった。でも、もし本当だったらというわくわくする気持ちがしたのを覚えている。
 鏡の中の庭園も、誰もいない夜にゼフュロスがクロリスをさらった神話の庭に変わったらどんなに面白いだろう。そこは、神話の中の人々やら中世の貴婦人が夜毎たむろする秘密の庭園なのだ。こんなことを誰か幼い子供に吹きこんでみたいという悪戯心を抱きつつ、私は時々このプールで泳ぐ。(02/3/2 楓)

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 スポーツクラブを辞めてから、そのプールには行っていません。プールの写真の代わりに別のを載せておきます。左から、①桂の木。ハート型の葉っぱが可愛い。②レストランから見えた中庭。③通りがかったカフェのテラスに咲くアジサイのアナベル。
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 自己紹介に他人と同じことをするのが苦手だなんて書いてしまいましたが、何事も最初は他人の真似から始めなければいけないですね。小説作法の本を何冊も読みましたが、その中に(どの本かは忘れてしまいました)「小説とは、辺境を描くものだ」という言葉がありました。海外旅行になんてめったに行かれなかった時代には、海外の旅行記を書いても小説として十分通用したそうです。でも、現代ではそうはいかないです。海外旅行へは、小学生でも親に連れられて行かれる時代になってしまいましたから。でも、この「辺境を描く」というのに、私は妙に納得したんです。私が面白いと思う本は、ほとんど辺境を描いたものばかりだからです。辺境と言っても、場所に限らないと思うんです。
 例えば、こんな風でしょうか。
     ◆未来、宇宙⇒SF
     ◆変わった風習の場所、異世界⇒ファンタジー
     ◆過去、江戸時代、戦国時代など⇒時代物
     ◆現実世界で起きる怪異など⇒伝奇物
     ◆旅⇒温泉ミステリー、旅行ミステリーなど

 こうやって考えるとエンターテイメント小説は、ほとんどこの範疇に入ってしまいますね。一般のミステリーはどうなんでしょうか。ミステリーには、「謎」という大きな求心力があるから、辺境などを書く必要はあまりないのかもしれないですね。

 でも、そう思って辺境のことばかり書いていたので、辺境を探すのに少し疲れました。今まで書いた場所は、宇宙、地底、異世界、古代の南の島などです。
 今度は、身近なことを書いてみようかなと思います。でも、どうも現実逃避で、現実の世界を書きたいと思えないんです。冒頭のエッセイなんかを発展させると身近な場所の伝奇物になるでしょうか。
 日常と異なる世界に、私は惹かれてしまうようです。

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